2021. 12. 01
腸活のすすめ
多大なご協力をいただいているのでご存知の教室員も多いと思いますが、2020年より科学研究補助金(基盤B)をもらって体内細菌叢と脳動脈瘤の関連を明らかとする研究を進めています(通称SAH-FLORA)。この元々のきっかけは、まず口腔内齲蝕原性細菌がくも膜下出血と関与するという大阪大学と浜松医科大学の研究を知ったからです。当然人間の免疫機能に最も影響を与える腸内細菌はもっと関与すると考えたわけです。またピロリ菌の土壌分布と胃癌が関連することからも、未破裂脳動脈瘤の頻度は欧米も日本も同じなのに、くも膜下出血がなぜ日本に多く(約3倍)みられるのかを、口腔や腸内細菌の分布で検証できるのではないかとも考え、国際共同研究推進基金(B)もいただくことができました。日本には特殊な腸内細菌が多いのかもしれません。残念ながら同時にコロナの蔓延で私が実際にフィンランドやスイスに行くことはできていませんが、オンラインなどで共同研究の道を進めています。この調査研究では、対象患者(未破裂、破裂動脈瘤、control)から唾液、便、血液を集め、そしてかなり詳細な食生活の習慣情報を聞いています。
この調査項目に「probioticsを摂取していますか?」という質問項目が出てきます。Probioticsとは「口から摂取され、ヒトの腸内微生物のバランスを改善する働きをもち、人体に良い影響を与える微生物」、いわゆるヨーグルトとかヤクルトなどの乳酸菌飲料を中心とした食品のことです。これがかなり腸活に重要な役割を果たしていることがわかるので、この研究に参加してくれた先生方の多くが、このProbioticsを積極的に取るようになったと聞いています。自分もヨーグルトメーカーを購入して月に2回くらい1Lの牛乳からR1かカスピ海ヨーグルトを作っていますが、ヨーグルトをワシワシ食べるとすこぶる調子が良いです。この研究開始をきっかけに教室員はじめ関係者がみなさん健康になってくれると、存外の喜びです。
さて話はまたラジオの話です。NHKの朝5時40分くらいから今日の健康という番組がありいつも寝ぼけ頭で聞いています。9月だったかと思うが、ちょうど上記案件の腸内環境を整えるための腸活の進めという番組が1週間ありました。講師はベンノヨシミ(辨野義己)先生です。
ちょっと“う〜〜〜ん”行き過ぎと思う内容もありますが、その話を要約して、皆さんの健康のためになればと思います。
話の中心は腸内環境を整え、便秘や下痢を改善すれば免疫力をアップしほんとんどの病気(認知症や脳卒中、癌も)を防げる(のではないか)という話です。皆さんもご存知のように大便の塊の大半は腸内細菌の死骸です。大腸には1.5kgの細菌が住んでいて、悪玉細菌が10% 善玉20% その他日和見菌が占めるそうである。悪玉の割合が増えてくると免疫量が下がったり、悪い代謝産物ができて疾病を促す。そのきっかけは運動不足、ストレス、過食、肉食やジャンクフード中心の食事などである。運動やWalkingは腸内環境を良く整えてくれるそうです。
チェックリスト!です。皆さんチェック。
A: 腸年齢をチェック。生活習慣、食事、お通じの15項目です。何項目当てはまりますでしょうか?
- 運動量<30分/日
- 喫煙をよくする
- 顔色が悪い 老けてみられる
- 肌荒れ、吹き出物が多い
- 寝つきが悪い、睡眠不足
- 朝食を取らないことが多い
- 食事時間が不規則
- 野菜をあまり食べない
- 肉が大すき
- 牛乳・乳製品が苦手
- お通じが不規則
- いきまないと出ないことが多い
- 残便感がある スッキリしない
- 硬い
- 臭い 人にそう言われる
1~3:若い 4~7: +10歳 8~11;+20歳 12~:+30歳
習慣によりますが、出したものをよくチェックすることが良いようです。もしお肉をたくさん食べるなら、その分多くの野菜(肉の3倍)をとることが重要です。
老人性の排便、ひょろひょろした便 においが悪い などの時は食生活、生活習慣を変える必要があります。乱れた食生活、食べるものの質、肉、油、野菜不足、運動不足などが食生活の乱れを引き起こします。
腸は何歳からでも若返りますので、まずは上記の当てはまるものを一つずつ解消してゆくと良いようです。
B: 食生活チェック(6項目)チェックリストAの裏返しになりますが、腸によい生活とは下記のようなものを食べるのが良いものです
- 朝食は毎朝必ず食べる
- 玄米や雑穀ご飯をよく食べる
- 野菜を多く食べている
- ヨーグルト、乳酸菌飲料を毎日とっている
- 油はオリーブオイルを使うようにしている
- 蜂蜜やオリゴ糖を使う
5〜6項目:良好、2~4:あまりよくない 1: 至急改善が必要
腸活に良い食材と習慣とは:
朝は水200ml バナナ1本(植物繊維多い、オリゴ糖も含む)でも良い。
プロバイオティクス食品:乳酸菌、ヨーグルト、納豆など
オリーブオイル、血液サラサラ、コレステロール低下作用あり
ナッツ ドライフルーツ:ビタミン、オレイン酸、繊維、ビタミンが豊富
野菜・海藻などは良好な食材とのこと。
合わせて運動が極めて重要で、特に足腰を鍛えるのが大事とのことです。
次に秘訣は和食にあるという話題もありました。
和食は発酵食品も多く、食物繊維、菜食も多く、タンパクは魚・大豆が多いので、腸内環境にとても良いです。大腸癌が増えているのは食の欧米化が原因と呼ばれています。
ちなみに辨野さんの普通の朝食メニューは
「具沢山味噌汁、玄米、焼き魚、サラダ、抹茶入りヨーグルトドリンク」
だそうです。
味噌汁は季節の野菜たっぷりいり味噌汁ですが、みそは腸活をよくする発酵食品です。また玄米はビタミンに富み、食物繊維が白米の6倍含みますし、よく噛む 唾液がよく出ることで腸内環境を整えます。また動物性蛋白はできる限りお魚(焼き魚は)から取るのがよく、肉を食べる場合は野菜を肉の3倍食べるべきとのことです。また抹茶はカテキンの抗酸化力にとみ腸内悪玉菌 を抑える作用があるそうです。
朝食は朝のリズムをつくり排便を促します。よく洋食で食べられるベーコンエッグやバタートーストは腸を汚す油、カロリーだけ多く、却って便通を悪くするそうです。
その他。腸活によい食材として 納豆(便秘にもきく)、おから(50gに5gの食物繊維を含むし、大豆イソフラボンも含む)、きのこや海藻類 腸の善玉菌の餌になるそうです。こんにゃく、ごぼう、おからの煮物なども腸活をよくする食材です。
腸活の要点は 1)運動 50% 2)食物繊維 40%、3)プロバイオティクス 10% とのこと。特に運動は腸腰筋を鍛えることが重要でwalking 1日10000歩以上歩くことが勧められます。歩き方についても、9−10月に同じラジオ番組があったので、別の機会にお話しします。
カスピ海ヨーグルトを日本に持ち帰った家森幸男先生が、以前これもラジオ番組で話されていましたが、グルジアのある部落は非常に長寿で、このヨーグルトを羊の膀胱か何かで作った袋に2Lいれて食事中もこれを飲んで、毎日一人で2Lのヨーグルトを飲んでいたそうです!!!恐るべし プロバイオティクス。それだけでお腹一杯になりそうです。
ちなみに肉も茹でて油を落として食べるのが普通だったそうです。モンゴル料理に羊とじゃがいものゆで料理がありますね。これも近いものかもしれません。
食生活は健康にとても大事です。皆さん快食快便を大切に。
先日ちょっと九州へ小旅行して、体に良いものも悪いものもたくさん食べてきたのでご紹介します。