学校法人日本医科大学
日本医科大学 脳神経外科学教室 Nippon Medical School Department of Neurological Surgery
前部長のつぶやき

Spetzler先生のWeb講演: Serendipityについて

先日のコングレス(@金沢)でRobert Spetzler先生のランチョンWeb講演があった。多分このためだけに金沢に行ったと言っても過言ではない。一般にオンラインで配信されたかどうかは存じないが、もしオンデマンドで見れるようになったらぜひ視聴して欲しい。

いつもの脳幹の中の血管腫がどう取れたのこうの、という特別講演もあったがそちらではない。もちろんそちらも素晴らしい内容であったのだが、要はアプローチの決断が重要というお話であった。

さて件のランチョンの方は「What true leader needs: Words to tell for the next generation of neurosurgeons」というタイトルの講演で、最も大事にしている事柄・言葉の説明から構成されていた。

はじめに自分の紹介からで、元はドイツ系移民で父がナチスから逃れ、ドイツから11歳の時に米国にきたとのことである。米国の大学を出て色々なところで教育を受けている(詳細はWiki参照)。すごいのはレジデントの時に海外で研修したのが、KoosやYasargil先生のところで、レジデントでありながら、Koos先生と一緒に今も版を重ねているColor atlas of Microneurosurgery (最初の本はClinical Microsurgery)を出版されているところ。

幸運と機会を逃さない!というのがモットーとなっている。

ではその大事にしていることというのはというと:

  1. Serendipity が最初にくる。

とても難しい言葉が最初に来るというのが、彼の人生を物語っている。

偶然、別のものを探していて違うことに気づいたり、予想外のものを発見すること。才能。

彼の言葉で言えば:幸運 と 適切な時に適切な場所にいること。

なぜ医学を目指したか、人生での出会い、家族、手本になる人に出会えること、そして今でも何かしらの貢献ができることというのを挙げていた。とりわけ家族や友、師そして教子たちとの出会いが彼に貴重な人生の種を与えてくれたという。(奥様は超綺麗なオペ室の看護師さんだったか、麻酔科医さんだったか、、忘れました)

次が

  1. Passion 

情熱はCharles Wilson先生から受け継ぐ(彼のレジデンシーを受けたUCLAのchairmanでとても多くの著名な弟子がいます)。High Schoolの時のYear bookに脳神経外科になることが夢 と書いていたそうです。。

自分も中学の時にベンケーシーの影響で脳外科医になろうと思っていましたが、ずいぶん違うものです。日本人と欧米人のチャンスの違いか、それともやはりPassionの強さの違いでしょうか?彼は学生時代から髄液の研究をしたり、レジデントの時に海外の大御所先生と本を出版したり。研究期間であった大学4年の6月にほぼ1ヶ月立山でスキーごもりなどをしていた自分とはその目的意識と情熱が違うのでしょう。

多分この「情熱・想い ×日年」がその人の才覚となって現れるのでしょう。「GRID」(執念、執着)の重要性(Skill=Talent×efforts, Achievement=Skill×Efforts)という話も数年前にしましたね(AANS2018報告)。

  1. Outside interest

脳外科だけではなくスポーツも旅も大好き。彼のチームでは年一回必ずGland Canyonの踏破をするらしい。。

一つのことばかりに固執すると、余裕がなくなる。

  1. Family

家族をとても大事にすること。

  1. Commitment

自分の役割をしっかりとはたすこと。

  1. Research

研究すること。出版すること。そのためのEditorial officeを持つこと!これがすごい。

  1. Travel

色々なところに積極的にでかけて見聞きすること。

  1. Openness

来てくれる人たちにも皆にOPENに。フランクに。

  1. Ethics-easy-the Golden Rule

倫理観を持って。

  1. Colleague and friends

仲間と友を大事に。

  1. Mentors

師を持つこと。

  1. Mentoring

師になること。教育すること。カンファランスを毎日開くことが必須だと言ってました。

ある日 ひとりのレジデントが彼がいつも言っていることを額に入れてカンファランス室に貼ってくれたとのこと:

“Never put off till tomorrow.”

物事を明日までさき回しにしないこと!

  1. Contribute 

いくつになっても、貢献できることがあること。最後に年齢をとることに悔やまない。いくつになってもやることがある。貢献できる。夢を持てる。

とのことでした。私も頑張ります。

などなどです。実はお弁当が出ると知りつつ、近くに美味しそうな能登牛のステーキのお店があったので、そこでステーキを食べた後にお聞きしたので、ちょっと抜けていることろがあると思います。申し訳ない。

思ったのは:

「強い想い」 がとても大切であること。それは学年や立場によらないこと。それも色々なところに余裕を持って、Serendipityが最初に来ることを忘れずに。

調和を大切にする日本人には少し難しいことかもしれませんが、偶然のチャンスを見逃さないこと(なんだか私の数ヶ月前のブログのようでもありますが、)が大切ということです。

もしオンデマンドとかYou tubeで見れるようになったら、ぜひ視聴してください。

その他にも色々You Tubeで見れるし、色々なWebinarを今しているので、勉強する機会はたくさんあります。

Lawton先生のSpetzler先生の紹介ビデオはこちら(You tube)

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