学校法人日本医科大学
日本医科大学 脳神経外科学教室 Nippon Medical School Department of Neurological Surgery
前部長のつぶやき

2017年年頭所感

皆様あけましておめでとうございます。年末年始はすこし骨休めをされましたでしょうか?それとも病院当番で大変でしたか?

私的には喪中で新年のご挨拶を控えさせていただきました。ついでに京都・滋賀でちょっと骨休みをして参りました。

さて今年は私が日本医大にこさせていただいて5年目となります。「石の上にも3年」といわれ、少しは落ち着いてもよいと思いますが、当初私がかかげました「INTERNATIONALな教室にする」という夢はまだまだです。INTERNATIONALというのは 文字通り国際的という意味もありますが、それ以外に他学、多施設との交流や人の配置、教室への様々な経験や出身の人が集まることです。その真の心は広い視野をもった人材の育成にあります。

そのためにも我々自身が、色々なことに興味を持ち、自分の中に閉じ込めず情報や想いを共有してゆける教室にしたいと思います。

これまで寺本先生の開始された教室の合同カンファランスにWEBの開催を導入したり、スタッフや医員によるミニレクチャーを導入したりもいたしました。ただ内容的にはまだ大きな変化は起こせておりません。できればどの病院にいてもカンファランスに参加でき発現できるシステムに変更してゆきたいとおもっております。何とぞご協力ください。

臨床、教育、研究面での活性化をさらにすすめてゆきたいと思います。何をもっても医師の教育には症例の経験が重要です。現在日本医大および研修プログラム全体の症例数は年間2000例近くあります。全例の手術をみること、経験することは無理としても一人最低200例くらいの手術の現場をみてゆく(見学する)、経験してゆくことで1000例の経験ができるはずです。

教育的症例の共有、見学を活性化するよう公示システムを改良してゆきたいと思います。現在4付属病院の予定症例を2週間分毎週連絡させていただいておりますが、上手く使われていないのも事実です。特にこれはおすすめという症例には星印をつけてもらいたいと思います。CHALLENGINGな症例、稀な症例、一般症例でも小児や機能外科の症例などです。各連携、関連病院の症例についても可能であれば情報をお送りください。特に若手(専門医前)の専攻医にとっては小児、機能の経験がたりません。救急症例でも教育的な症例が有る場合には症例を経験できるよう、ご連絡をお願いできれば幸いです。各年度に連絡係をおきますので、彼(彼女)に連絡すれば、専攻医全員に連絡が行くようなシステムを構築します。関東近隣であれば1時間あれば現場にいけますので、自由に見学、参加にいける体制としたいと思います。LINE連絡システムを構築いたします。

昨年は以前からの懸案であったM&M(本手記の2013年に書いたものにありますが)に関する書籍を多くの先生のご協力を得て出版することができました。ただなかなかそのような情報の整理をするのは難しく、「どの項目をどのように整理して、どのように将来の失敗を防ぐ手だてとするか?」に大きな課題が残りました。第2版を数年後に出版したいと思います。そのために整理をしてゆこうと思います。その際にはぜひ皆様にもご協力をいただきたいと思いますのでよろしくお願いいたします。

さて今回若手の研修医に千駄木スタッフが臨床医学コーチングをすることにいたしました。要は普通なら何も指摘されないでも自ら学んでいたことを、今の時代ちゃんと言葉で伝える時間を設けるということです。関連医療機関の先生にもぜひそのような時間をつくっていただければと思います。

その一回目(手術版)を先日私が行いました。その際に、今の日本医大の手術教育に何が足りないかを若手に聞きました。

その内容にはややプリミティブなものもありますが、こちら教育者側の改善点もあるかとも思います。

今後の若手や学生の指導の参考にして頂ければ幸いです。

  1. 各先生によってやり方が全く違う。日本医大の基本の方式というのはできないのか?

方針:各チームでの引き継ぎマニュアルのようなものをつくるとよい。手術に関してはオペの看護師のつくったDr’s POINT集がある。

病棟管理、術前術後管理に関してもつくっておくとよい。

local rule, personal ruleというのは、医学的に間違っていることでなければ好みや慣れがあるので修正、変更は難しい。

それを学び自分のやりかたを構築していゆくのも 君たちの学習である

古いやりかただったり、エビデンスのないことだったりについては 一般的にはこうした方が良いというのは私がカンファですこしずつ指摘はしている。

  1. OPE中に何をやっているのか、解剖とか 自分の勉強不足もあるが、教えてくれない。聞けない。学生にも今のままではあまり教育にならないのでは?自分がわかるところは教えるようにしているが。

方針:基本的にはわからないことがあればそのままにせず、上級医にきく なにをみているのか なにをしているのか?なぜそうしているのか?

我々としてもすこし学生に冷たいところもある。今何が見えているか?なにをしているか?なんでしているのか? そんなことを一つ一つコーチング 学生や専修医に向けて する努力をしないといけないと思いました。

以前東京大学の脳神経外科の医局では(私が入局した頃にはそのような場はなくなっていました)、手術が終わった後、先輩や後輩が集まって、ビールを飲みながら、今日の手術についてアーでもないコーでもないと話し合っているだらだらした時間があったと聞きました。それが大変ためになったと聞いたことがあります。皆が教室で仕事が終わるとさっさと帰宅し、だらだらと話をしなくなったのは、時代の風流でもあると思います。またそのようなだらだら飲酒を伴う風習にも弊害はあったでしょう。無理をしなくても風通しがよい、なんでも聞ける時間を設けてゆきたいと思います。

面倒くさがらずに、「説明」してあげましょう。それがまた自分の手術を反省し改善するきっかけにもなるかもしれません。

ビデオ作成などもできれば若手にも作らせてみて、何が肝なのかを知らせる、作りながら教えるなどの態度も必要かとも思います。時間がないので難しい面もありますが。

3. マイクロ選手権やラボトレーニングなど、予定表をつくってから知らされることもあるので、できでは早めに教えてほしい。当直日を調整できるように余裕をもって計画を立てたい。

方針:当直表、担当など ラボや若手のトレーニンング、若手によい講習会などある時は、彼らが出れられるようにしてあげましょう。また計画は早めに認知させるようにしましょう。

今後努力していろいろなコーチング、ラボトレーニング、可能であればカダバー実習体制も構築したいと思います。早めに通知いたしますので、何とぞご協力ください。

  1. 市中病院だと、症例をわけてくれて、前立ちして教えてくれる。大学病院だと難しいのかもしれないけれど、丁寧なコーチング、段階を経たトレーニングの体制があったほうが良いのでは?

Step by stepの段階が明確になったほうがよいのではないか?

方針:各人の努力、進歩にもよるが、ある一定の症例数目安など合った方がよいかもしれません。専門医の経験の把握としても必要かもしれません。

たとえば千駄木であれば、テント上の開頭であれば1年間 5例から10例はできるようにする。400例中開頭は最低140くらいはあるはずなので、テント上はすこしやらせてもよいと思います。

ただしそのために、術前の準備、計画 頭部固定、体位の設定、そして皮膚切開をさっとできる 筋肉を剥離できる、骨を硬膜を破らずに開頭できるなど基本的なステップが確実にできることが必須とおもいます。

そのようなものをステップごとにさせてあげるのも方法かもしれません。

勿論見て学ぶことも大事で、各症例ごとに、本日の手術でのポイントなどを話ししてもらう。などの時間、機会をつくるのも重要かと思います。

関連、連携施設に若手を派遣する場合も、ただ労働力として提供するのではなく、たとえばその学年にふさわしい 一定数の症例数を保証(努力にもよりますが、)してもらうのも大事と思います。これは、各施設の症例数や事情にあわせて私と医局長とで相談したいと思いますので何とぞ宜しくお願いいたします。自施設のアピールも含め宜しくお願いいたします。

私自身にもいくつかの夢があり、目標がありますが、一つずつ努力してかなえてゆきたいと思います。

教室の目標は、良い医療が全体としてでき、研究、教育にも目が行き届き、INTERNATIONALな魅力を備えた活気のある教室になることです。

そのためにも構成員、関連施設の先生方のご協力がぜひ必要ですので何とぞ本年もよろしくお願いいたします。

森田photo集2017−①

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