学校法人日本医科大学
日本医科大学 脳神経外科学教室 Nippon Medical School Department of Neurological Surgery
前部長のつぶやき

第75回日本脳神経外科学会総会にて

9月末から10月1日(本日)にかけて福岡で第75回日本脳神経外科学会総会が開催されました。初日の夜には社員総会があり、その際に行われました理事の改選で次期も理事を務めさせていただくことになりました。日本の脳神経外科をさらに良い方向にむけるために少しでも役に立てればと思います。また日本医大の脳神経外科のプレゼンスを高められればと思います。

さて本会議の内容は、教育的なセミナーや企画が多くややコングレス様という印象が強かったと思いますが、教室からも30を越える講演、ポスターの発表があり、また10のセッションの座長を教室の先生がなされました。

またセッションの間には特別会員の脳神経外科医の先生の若手へのメッセージが放映されており、為になる言葉が多かったと思います。

セッションの中で印象ぶかかったのは第9回日本脳神経外科塾での小川彰先生の講演です。タイトルは医学教育政策の変遷—光と影—明治期からかわらない医育、医療政策の不思議—というものです。

明治の時代から東大を中心とする国立大学を主体とした文部省と、医師不足を解消するため私立医大をサポートする厚生保険局(現在の厚生労働省)とのあいだで医学教育のあり方に大きな論争と対立があったことをしりました。

知・情・理、 知育・徳育・体育のあり方が日本では常に揺れ動いており、特に現在の医学教育は知育に重きがおかれ過ぎ、徳育 情の教育がたりないという状況を感じました。

日本医大も同様で、国際認証をめざすためとして、カリキュラムの改訂がなされ、学生達は、部活動をする余裕や自分たちの好きなことをする時間がなくなってしまったと言っているものが多くいます。医療は知識や技術も大切ですが、最終的にもっとも重要なのは人間性であり、その育成がうまくいかなければ良医はうまれないと思うのです。

日本は明治の時代から、自分たちの歴史を恥じ、過去を捨てることから始めていったという経緯があることをしりました。それにより道徳の退廃が発生し、明治中頃に岩手の石井省一郎県令を中心として県令合同の建議書というのがだされたようです。その内容は日本の良き伝統、週間を捨てず復活させるべきという内容であり、それをもとに教育勅語、そして修身がつくられたということでした。この内容は宗教によらずに人間の自律をうながすものであり、全世界で翻訳され絶賛されたとのことです。しかし教育勅語はGHQは尊重していたのに軍国主義を生んだという理由で昭和23年日本の国会が自ら「失効」の決議をしたといことでした。ここでも間違った過去を捨てるという過ちをおかしています。

また新渡戸稲造はこれらの日本の宗教によらない道徳観が武士道によるものであると思考し米国でBushidoを執筆しています。

小川先生は教育勅語を復活させるべき。そして大学生や医師になった後に道徳教区をしても直しようがないので、子供のときから道徳教区を徹底し、とくに親を教育すべきとおっしゃっていました。その通りと思います。

教育勅語および修身の内容は以下のようなものです。

教育勅語 12の徳目

  1. 父母ニ孝ニ (親に孝養を尽くしましょう)
  2. 兄弟ニ友ニ (兄弟・姉妹は仲良くしましょう)
  3. 夫婦相和シ (夫婦は互いに分を守り仲睦まじくしましょう)
  4. 朋友相信シ (友だちはお互いに信じ合いましょう)
  5. 恭儉己レヲ持シ (自分の言動を慎みましょう)
  6. 博愛衆ニ及ホシ (広く全ての人に慈愛の手を差し伸べましょう)
  7. 學ヲ修メ業ヲ習ヒ (勉学に励み職業を身につけましょう)
  8. 以テ智能ヲ啓發シ (知識を養い才能を伸ばしましょう)
  9. 德器ヲ成就シ (人格の向上に努めましょう)
  10. 進テ公益ヲ廣メ世務ヲ開キ (広く世の人々や社会のためになる仕事に励みましょう)
  11. 常ニ國憲ヲ重シ國法ニ遵ヒ (法令を守り国の秩序に遵いましょう)
  12. 一旦緩急アレハ義勇公ニ奉シ以テ天壤無窮ノ皇運ヲ扶翼スヘシ (国に危機が迫ったなら国のため力を尽くし、それにより永遠の皇国を支えましょう)

(Wikipediaより)

修身での二十五の項目

家庭のしつけ  親孝行  家族・家庭  勤労・努力  勉学・研究

創意・工夫  公益・奉仕 進取の気象  博愛・慈善  資質・倹約

責任・職分   友情   信義・誠実   師弟     反省

正直・至誠  克己・節制  謝恩    健康・養生   武士

愛国心    人物・人格  公衆道徳  国旗と国家  国際協調

Ronald Reganが若者の精神の荒廃のために打ち出した道徳教育の徹底の教科書となった「The Book of Virtues」という本は世界で今でも第二の聖書としてベストセラーになっているらしいですが、この本の元となったのが上記の日本の修身であり、教育勅語であったことを後に著者のウイリァム・ベネット氏が明らかとしているそうです。

日本の昔からの美徳に基づいた医学教育を再構築できればと思います。

教育勅語(Wikipediaより)

福島先生のランチョンの座長

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