学校法人日本医科大学
日本医科大学 脳神経外科学教室 Nippon Medical School Department of Neurological Surgery
前部長のつぶやき

瞑想で脳の疲れをとる

暑い日が続きます。皆様おかわりありませんでしょうか?

身体のつかれもそうですが、夏の休暇を利用して頭を休める方法を会得してはいかがでしょうか?

前回紹介した石川善樹先生がつい先日NHKの早朝のラジオ番組で「疲れない脳の作り方 科学からみる瞑想」という話しを5日にわたってしていました。とても興味深かったし、自分でもすこしやってみると色々なところに気づくので紹介します。(その前の週には形成の小川先生も出演しています。)

詳しくは以下のホームページで視聴できるので、試してみるとよいと思います。

http://www4.nhk.or.jp/r-asa/337/

瞑想とはよく宗教でつかわれる言葉でではあるが、いろいろな思想や哲学でも使われる。医学にもよいのではないかと思います。

なぜ人間は寝るかというと?脳が疲れるからです。夕方になると仕事の効率が下がるのはひとえに脳の疲労のためです。ですので、脳の疲れをいやす方法があれば、人生を有意義に過ごせるとも思うのです。

まず「調身」、「調息」、「調心」(漢字をまちがえていれば申し訳ない)が重要といいます。

「調身」とは姿勢を正すことである。よく座禅など難しいことを言われるが、とても単純な方法を教えていた.へその下の下腹部(丹田というらしい。昔は男性でも着物の帯をしめるあたり)をぎゅっと力を込める。両肩をすぼめて一旦持ち上げて下げたところ。それで体位は終わりです。要はまっすぐに座り上肢にへんな偏りなく、下腹部にしっかり緊張の有る状態です。

「調息」は 3−2−5が基本だそうです。3秒で吸い、2秒とめて 5秒で息をゆっくり吐く とのこと。吸気時は交感神経が働き、呼気時は副交感神経が働くそうです。副交感神経が活動すれば人は休まります.

最後に「調心」ですが、無にすることですが、よく座禅で「ばしっ」とたたかれるやつです。まずは「息」に気を集中するのがやりやすいとのことでした。吸う吸気は冷たく、呼気は暖かいことに気づく。それを感じるだけでも効果があるそうです。それと身体の様々なところに集中して自分の身体の具合を感じること。右耳は、左耳は、頭頂は、右肩は、左肩は、口の中の歯は、舌は?右手、左手、下肢、下腹部など。それをしてみると脳神経外科医では、いろいろなことを考えることができることがわかります。自分の側頭葉や小脳、脳幹を思い浮かべてみる。心臓や肺、胃や腸、肝臓、腎臓なども思い浮かべてみる。創造してみる.自分の肝臓はどんな色しているだろう?(フォアグラ状態か?とか)脳の状況がどうか?神経細胞がどのように活動しているかを瞑想しながら考えるのです。

そのようなことを最近通勤中バスとか歩行しながらしています。毎日5分くらいすると良いようです。

そのようなことをしているうちに自分を第三者的な目でみることができるようになる。

そのような訓練をすることで、例えば手術で苦境にたったとき、思考をなにかにとらわれる(怒りのときは扁桃体ジャックともいうようです)こと無く、おちついてものを考えられるようになると思います。

先日とても大変な手術がありました。途中でMEPがでなくなってしまい、何をしても回復してこないのです。比較的太めの穿通枝が閉塞しているようです。1時間半いろいろなことをしましたが、最期に再度血管をひらき開通し、MEPが戻りました。

その1時間半自分の中での葛藤と患者の予後を考えるとき、第3者的視点での冷静さが最も重要であることを感じました。

自分のスキル、心を磨くことは、自分の人生のためにも、また患者のためにもなると考えます。ぜひ皆様のトライしてみてください。

今 自分の脳の細胞は何をしているか考えてみましょう。

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