学校法人日本医科大学
日本医科大学 脳神経外科学教室 Nippon Medical School Department of Neurological Surgery
前部長のつぶやき

2015年頭所感

皆様 明けましておめでとうございます。

本年も是非よろしくお願いいたします。

経済、政治の動向も定まらず、医療や研究にとってはあまり先の明るくない見通しの中での年明けとなりますが、なんとか我々日本医大および脳神経外科は時代に大きく影響されることなく粛々と役割を果たしてゆきたいと思います。

さて今年の脳神経外科にとってもっとも大きな事業であり、今後の日本の脳神経外科学の基礎となるのは、National Clinical Database(NCD)への参加です(Japan Neurosurgical Registry: JNR)。まずは手術症例の簡単な登録から始まりますが、少なくとも術前後のmodified Rankin Scaleが加わるだけでも大きな進歩となります。また同時に未破裂脳動脈瘤に関する比較的詳細な情報の登録事業(SMART Japan)も開始されます。日本医大は東京の中心部にある大学病院であり、私ももともとUCAS Japanという脳動脈瘤コホートをしていた関係上、本登録事業には当初から委員として参加しています。さらに現在米国NIHではClinical Data Elementという事業を展開しており、日本のNCDをしのぐ患者登録データの国際基準(論文発表やシリーズの報告にはこれに従わないと主要な雑誌に投稿できないなどの仕組み)を構築しようとしています。すでにStrokeとEpilepsyの概要は定まっており、パブリックコメントを求めています。今回私はくも膜下出血と脳動脈瘤のデータ取得の仕組み策定事業の委員に任命されており、国際基準の策定にも関わってゆきます。その内容は逐一、学内および国内で紹介してゆきたいと思います。

さてこのような登録はDPCのデータで代用できないのか?という意見も多いのですが、DPCはコストベースの登録であり、全施設が登録出来る訳ではありません。また特に細かい情報登録への発展や、我々学会員主導のデータ管理、データの質の担保が難しいという問題が有ります。

本登録事業は自分たち脳神経外科医のための物であるという自覚をもって進めていかねばなりません。

そのためには如何に簡便に、もれなく登録ができるか(症例の記録ができるか)ということを全国の規範になるように、日本医大およびその関連施設が率先して検証し進めていかねばなりません。是非先生方からのアイデア、意見を頂けると助かりますし、またデータ登録そのものの徹底もお願いいたします。

そのデータをうまく各施設のデータベースやM&M検証に応用できるような仕組みも構築してゆきましょう。まずは大学でNCD(JNR)で配布しているFilemaker登録フォーマットから、日本医大の以前構築したデータベース内容を組み込んだものを作っていきたいと思います。

日本発および世界展開にも向けたBig Data構築の基盤となれるようぜひ頑張ってゆきましょう。よろしくお願いいたします。

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