2023. 03. 01
足掻いてみようよ
自分を第三者目線で見てみたことはありますか?
皆さんは一応毎朝鏡で自分の鏡像を見ていると思います。でも実像や性格や言動が他人からどう見えるか?も多分大いに気にされてはいるかと思います。
その時に、みっともなく見られたくない、ましてや足掻いている姿など見せたくはない。一方で努力は認めてほしいと思っているのではないでしょうか?
人からその一瞬どう見られるかなんて、大したことないと考えませんか?そして足掻いてみませんか?
「足掻く」を辞書で引くと下記のように出てきます:
1 手足を振り動かしてもがく。じたばたする。
2 活路を見いだそうとして必死になって努力する。あくせくする。
3 馬などが前足で地面をかく。また、そのようにして進む。
4 いたずらをして暴れ回る。ふざける。
もちろんここでの意味は1や3、4ではなく2です。足掻くと、努力は紙一重。かっこよく努力できる人は良いですが、なかなかそうはいきません。
本年4−5月には出せる予定のWeb版「私のやってきたこと」に、村井保夫先生が書いてくれたのですが、私との手術で印象に残っているのが、YさんのMCA巨大紡錘状動脈瘤の手術。動脈瘤の反対側の壁から穿通枝が出ていて、クリッピングの最中にそれが詰まって、MEPが完全にシャットダウン。1時間50分くらいMEP消えているのに、悪戦苦闘(文字どうり足掻きまくって)、果てはLenticulostriate arteryに針を差し込んでヘパリン生食を流すなんて、今まで1~2度(これまで1度もうまくいってない)しかしたことのない手技を繰り返し、そうしたらなんとMEPが回復した時の私のガッツポーズだそうです。その後もう一波乱ありましたがそれも乗り越え、幸いYさんはその後も元気に外来に通ってきてくれています。その他にも私が足掻きまくっている姿は手術中にも、色々見せまくっているように思います。そう見えていなくても、実は心の中は、ヒヤヒヤの連続なのです。こんなことを書くと患者さんは不安に思われるかもしれませんが、人間の頭の中はある一定の解剖学的法則はあるものの、脳回の形も動脈、静脈の流れも全ての人で異なるし、さらに全く同じものが2度とない手術の対象となる病気・病態を相手にするのです。いつも影に隠れた悪魔を恐れながら、手術をする。その際に、何か困難(や悪い縁)にでくわしたら、一生懸命足掻くことです。諦めたら、そこで終わってしまいます。患者さんに重篤な合併症を残すことになる。足掻いて、足掻いて、足掻きまくって、その状況下でも最良の結果を目指すのが我々の務めだと思うのです。
手術や患者管理だけではありません。我々は人間として色々な障害に出会います。親のこと。友人のこと。恋人や妻、子供、知らない人たちとの人間関係。臨床以外の仕事のこと。研究や学会、社会活動。生活。収入。食欲、趣味。。なんでも、これからも色々な困難に出くわすでしょう。私など、学会活動等でもいつも足掻いてみっともない姿を晒しています。
前にも書いたかもしれませんが、時間は歳をとると感動がなくなるので、ものすごく早く時計が回ります。足掻いて、達成して、感動して、苦しんで、自分を出し尽くした時間・毎日を過ごしていれば、かなり時計の針は遅くなってくれるのではないかと思います。
なるべく、困らない道を選ぶのではなく、なるべく足掻かないといけない道を歩いて欲しい。なるべく大変な坂道を選んで進んで欲しいと思います。やり遂げた時の達成感は多分素晴らしい。
これまで10年間日本医科大学脳神経外科の医局通信にコラムを書かせていただきました。つまらない私的なものとか。。喜多村(幸)先生の言では、なんでこんな赤裸々な自分を出すのか不思議。と言われてしまようなお恥ずかしい失態やら。また思ったことなど、包み隠さず(?)書かせていただきました。読み苦しい文章でご迷惑をおかけしました。教室のホームページにも公開しているので、最近は患者さんからも色々コメント受けます。「手術したんですか?」とか、「辞められるんですか?」とか。。
最近は書くネタが尽きてきて、ラジオや新聞の切り抜きに面白い記事はないかとさがしている自分がおります。ちなみに日経はとても面白いです。この間若手との飲み会で話しましたが、「間脳へのトキソプラズマの感染が狼のリーダーを生む」なんて記事がありました。ご存知のように間脳は記憶や感情を左右します。間脳に寄生虫で少し異常が起こると他の個体よりも恐れがなくなる それで群の外に行く、戦いにあえて挑むようになるそうです。ちなみに日本の10分の1くらいの人口なのにサッカーが国民的に強いクロアチアとかセルビアは人口あたりのトキソプラズマの感染率が高いそうです!
トキソプラズマに感染する必要はないと思いますが、一度きりの人生です。思いっきり足掻いていみてください。そして楽しみましょう。
みなさんお元気で、そしてまた「旧部長のつぶやき」は、年1の年報の時にとっておきますね。
ADIOS AMIGOS!
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森田のレシピが人気のようです。。。やはり第二の人生は料理家かな?