学校法人日本医科大学
日本医科大学 脳神経外科学教室 Nippon Medical School Department of Neurological Surgery
前部長のつぶやき

AI

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ご覧になった方も多いと思うが、先日NHKスペシャルで 「人工知能:天使か悪魔か?2017 」 という番組があった。2017という年号がついている意味は、実は同じタイトルで2016にも放送しているからである。どちらも以前宝金先生の主さんされた脳外科総会で招かれていてこのブログでも紹介した羽生義治さんがメインのコメンテーターをしていた。彼の最初のコメントは、「昨年と今年では隔世の感がある」ということである。1年で目覚ましい進歩を遂げたり人生が激変したりすることはよくありそうであまりないことである。例えば1歳の幼児や小学校1年生にとって1年は非常に大きな意味を持つであろう。我々はどうかというと、2~3年で大きな変革を打ち出せないというのが現実で、何か物悲しい。

さてAIの話に戻る。AIにとって今は幼少時なのかもしれない。我々は少なくともそうとっているだろう。医療にAIが応用され、治療の判断や放射線の診断、手術の手法などを教授するには、まだまだ時間がかかるのだろうと。

その番組紹介されている項目を紹介する。

医療事務などの人材派遣会社は、そのストレスから退職率が極めて高い。そこでこれまで数ヶ月に一度面談用紙などで、面談をしてきた。しかし効率が上がらず、AIに面談用紙などに書かれた文章からやめそうなリスクの高い人を抽出するというのだ。これまでの様々な人の面談記録、その後の動向のデータを打ち込むと、やめる人が使う言葉尻や接続詞の特徴があるそうである。AIは文章の内容を理解するわけではなく、言葉尻やでてくる言葉の羅列から、実際に読むとまだまだ頑張りそうな文章の人の記録を危険域と判断できるという。

ポナンザの話はよくご存知のことと思う。将棋やチェスには一定のルールがあるので、コンピューターにそれを教え、王将戦など数千、数万の対局を覚えさせているという。開発以来それだけでもプロ棋士すら一回も勝てなかったわけであるが、最近ポナンザ同士で戦わせることによって、700万回という対局を数ヶ月で行っていて(これは人間がしようとする年間7百回(一日2回)対局しても1万年かかるわけであるが)、それによって人がとても思いつかないような戦法を編み出したという。佐藤名人との戦いはその特徴を出しているという。現在藤井君が快進撃を続けているのもコンピュータ将棋から得た知識によるものだという。佐藤名人の言では、「ポナンザは神の領域に近い」という。

現在野村証券などのマネーや株のトレーディングの世界では、AI開発にしのぎをげずっていて、その性能が儲けの勝敗を決めるそうである。以前はトレーダーが電話やコンピューターの前でひっきりなしにやり取りをしていた姿は皆無で、現在トレーダーはコンピュータの前でAIがトレーディングしているのをただ眺めているそうである。AIのトレーディングは1分間で数十回くらい売り買いをするという。それ一回十円の儲けでも儲けはものすごいスピードで増えてゆく。AIに覚えこませているのは過去数10年の株価やマネーの動向、世情、政情、気候、発見、科学の進歩なのだという。それだけで未来が見通せるようになるわけである。

米国では3人に1人が犯罪を犯すという現状から、常に牢屋が満杯で、どう保護観察を決めるかが問題となっているらしい。過去の犯罪者データからAIを用いて人の経歴(職業、性格、家族、収入や住んでいるところなど)から再犯率の高い人を見つけ出すソフトを使いそのデータによって刑期を決めるそうである。

卑近な例ではDOCOMOが過去10年くらいのタクシー乗降、天候、気温、エベント、などの情報と、携帯端末の数から今どこにどれくらい人がイルカの情報から、タクシーにここに行けば乗客を捕まえられるという情報のサービスを始めたそうである。新人の運転手もそれまでは2時間くらい空車で走っていたことが多いのに、よく乗客を乗せられるようになり、ベテランの運転手が使っても手放せなくなるそうである。

韓国ではあまりにも大統領などの不正が多いので、米国のAI科学者にAI政治家の作成を依頼したそうである。全世界の憲法と法律、民法、刑法、経済、天候などを教え込み理想的な政策の提言をさせるという試みらしい。

今回医療の話は医療事務の人事のことであった。医療についてAIを考えれば、すでに放射線の診断、薬剤の処方、予防医療など、AIがすぐにでも活用されることは想像に容易い。精神科や外科はAIの利便性を受けにくいだろうとされる。本当にそうだろうか?人の文章か書いたもの、言ったことから、その人の今後の動向がわかるようになるという。精神科でも十分使えそうである。

100万件の手術データ、経験を持った外科医はいないだろう。神の手などという人がいるが、実際には、神の領域に近いのはAI外科医かもしれない。

もし「AI医師」を作って過去の医療情報、診断、治療、医療経営、世界中の保険情報、最新の何万という医学雑誌の情報をup-to dateに取り込ませ、その信頼性の判断までさせたら。多分病院に1台(人)いれば、各科の教授、部長や病院長は必要なく、指令をきく若手だけで医療が運営できるのかもしれない。究極の指導医となる可能性が高い。ロボット手術装置が開発できれば、多分外科医という範疇はいらなくなるだろう。地方の指導医不足の地域でも、優れた外科医がいなくても、最良の医療に近いものが提供できるかもしれない。

それは10年後と思っている人も多いかもしれないが、実は来年かもしれない。

果たしてAIにとって今は幼少期なのか?ものすごいスピードで進化を遂げている過程を目の当たりにしているのかもしれない。見逃していると大変な事態になるかもしれない。数年前今のスマホの普及を誰が予想しただろう?

人の心がそこでどのように動くか、我々がどうそのような技術を捉え、どう用いるかが本当に重要な時代になってくると思う。

山本一世さん(Ponanzaの開発者)と、一度AI医師の想像について話をしてみたいものである。

以下:あまりAIの影響の及ばないと思うもの。でも人の好みとか、顧客をどう増やすかなどに使われそうです。

すっぽんの炊き込みご飯@神楽坂某店にて          鮎のトリュフスープ

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