学校法人日本医科大学
日本医科大学 脳神経外科学教室 Nippon Medical School Department of Neurological Surgery
講師 井手口 稔

ご自身のこれまでの臨床・研究経験について教えて下さい

横浜市立大学を卒業後、NTT東日本関東病院の外科系レジデントとして2年間研修をおこないました。このころから、脳血管内治療に興味はあったものの、まだ本格的にふれる機会は少ない状況だったので、脳血管内治療も勉強できる横浜市立大学の脳神経外科への入局も考えましたが、最終的には森田先生のもとで後期研修を行うこととし関東病院に残りました。

途中3か月と短い期間ではありましたが、網走脳神経外科リハビリテーション病院におられた谷川緑野先生のもとでも研修をおこないました。谷川先生に傾倒し、一度は脳血管内治療をあきらめて網走で研鑽をつみたいと考えた時期もありました。後期研修後の進路につき森田先生と相談させていただいた際に、「これからの時代は脳血管内治療ができるようになったほうがいい」というお言葉をいただき、最終的には脳血管内治療を勉強するために国立循環器病研究センターを選択しました。

国循にはレジデントとして3年間所属し、脳神経外科と脳血管内治療の専門医を取得させていただきました。ほとんど病院にいた記憶しかありませんが、この時の経験がいまの自分の礎になっていると思います。とくに片岡大治先生と佐藤徹先生のお二人は、僕たちレジデントとの距離もちかく、さまざまなことを教えていただきました。なによりも、全国津々浦々から集まってきた同世代の脳神経外科の先生とも多くしりあうことができました。いまでも定期的にWebカンファレンスを継続しており、そういった意味でもこの3年間は貴重な自分の財産となっています。

国循に移動した当初は、京都にある大学の脳神経外科に入局するつもりでいましたし、森田先生にもすすめられていましたが、途中で森田先生が日本医科大学の教授に就任されることが決定したころから、日本医科大学に来ないかとのお誘いをいただきました。最終的には、森田先生のもとでもう一度仕事をしたいと思い、日本医科大学に入局することを選択させていただきました。

日本医科大学入局後は亀田総合病院に赴任し、波出石弘先生と田中美千裕先生のもとで2年間、直達手術と血管内手術両方の治療を均等に学ばせて頂き、治療の幅がひろがったと感じました。

その後千葉北総病院に移動し現在にいたります。北総病院では、水成隆之先生から脳動脈瘤のクリッピング術とバイパス手術を中心とした手術手技を、小南修史先生からは、液体塞栓物質をもちいた塞栓術を中心とした血管内手術手技をご指導いただくことができました。とくに、手術を自分でマネージメントすることや、後輩への指導をおこなうことを学ばせていただいており、今もその途上にあると考えています。

NTT東日本関東病院在籍時は森田先生にご指導いただきながら、症例発表をおもに学会で行いました。

国循在籍後は、飯原弘二先生のもとで、ビッグデータをもちいた研究のお手伝いをさせていただき、国際学会での発表も経験しています。脳血管内治療専門医を取得した後は、抗血栓療法と脳血管内コイル塞栓術後の脳梗塞の関係についての研究をひきついでおこない、International Stroke Conferenceでの発表もしております。

亀田総合病院赴任時は、田中美千裕先生のもとで、主に発生学の勉強をさせていただき、ニッチ脳神経脈管カンファレンスにて脳動静脈奇形における血管新生について発表し、教科書も執筆させていただきました。

その後日本医科大学院に社会人枠で入学させていただき、臨床を行いながら金景成先生ご指導の下で臨床研究をつづけ、昨年学位を取得することができました。

現在は、硬膜動静脈瘻に対する検査や治療方針を対象とした研究をはじめています。

現在はどのような活動をされていますか?

おもに、臨床活動がメインです。手術は、8割が血管内手術、2割が直達術といった割合です。最近では、硬膜動静脈瘻に対する治療がふえているのが一番の特徴と考えています。幸い近隣の脳神経外科から紹介いただく機会もふえています。外来は外勤をふくめ週3回行っています。おもに血管障害の患者さんを中心に診察を行っています。

その他は、血管内治療をはじめとした技術指導のほか、学生さんへの講義のほか、救急隊のかたを対象とした脳卒中の講義なども行っています。昨年からは、学生さんおよび研修医の先生を対象とした、ハンズオントレーニングも開始させていただいています。

今後の夢はなんですか?

自分がとりくんでいる疾患のひとつである硬膜動静脈瘻の啓蒙を、いずれはすすめていきたいと考えています。まだまだこの病気に関する理解がすすんでいないのが現状で、数年以上も耳鳴りで不眠となり、診断がつかないまま抗精神病薬を処方されつづけてしまう症例も実際に存在しています。個人的にはこういった症例を確実に減らしていきたいと考えています。

instagram
facebook
yutube