2014. 11. 01
脳神経外科心得
脳神経外科研修診療心得 “Attitude towards Neurosurgical Practice”
秋も深まってきました。先月教室の先生方の多大な御協力を頂いて上記タイトルのmini-本を出版しました。私の担当分はその冒頭の“心得”ですが、下記に再度繰り返します。特に若い先生方は、再度読み直して、完全にはできないまでも努力してください。一応斜体でコメントをいれました。
鉄則:
- 施設の医師および看護必携マニュアルを読み、内容を理解しておくこと。
日本医大にはあまりしっかりしたものありませんが、特に医療安全に関しては熟知してください。
- 緊急時には必ず担当上級医に連絡すること。
これは必ず遵守してください。
基本方針:
- 患者第一の医療を実践する。
- 自己の知識・診療能力・診療態度・教育力を向上する努力をする。
- 脳神経外科・脳卒中医療の更なる向上のために、上記のさまざまな面において新たな工夫、改善、研究をおこなう。
- それぞれの立場で後進・コメディカル・患者(市民)を指導・教育する。
- 日常は医療人としてふさわしい社会活動・言動を行い、診療現場ではいつもリフレッシュした状況で患者診療にあたれるよう努力する。
患者対応:
- 患者のアナムネ、社会歴(職業・社会での役割、家族構成)、家族歴をよく聴取すること。特に職業と家族関係重要。
- 脳外科疾患・脳卒中は頭のみの病気ではないことを認識し、全身くまなく診察すること。全身の触診をして手に診断力をつけること。
- 患者の訴えはよく聞き、その中から本当の問題点を把握できるよう努力すること。看護師さんたちの意見も良く聴く。
- 入院患者は基本的に毎日診療すること。必ず毎日!!カルテ記載をすること。自分の判断とプランを記載すること。(これがされていない。徹底すること)
- 診療できない場合には代理に診療を依頼すること。当直者は1週間以内の患者の状況には熟知し、担当医がいない時は、代理でカルテを記載する。
- 24時間連絡がとれるようにしておく。 不可能な場合には代理を立てておくこと。
- 患者にとっては何科の医師であるかとか、医療職は関係ない(すべて自分が依頼した病院の職員である)。主治医である以上、患者の社会生活復活への支援を惜しまぬこと。他のチームの患者であろうと同じ。
- 救急外来の患者に関与した場合には、かならず実診察し、カルテに記載または、初期研修医カルテにカウンターサインを行う。
- 看護師・コメディカルからのコメントや要望には誠意を持って対応し、対処する。看護師さんは臨床の観が先生達よりあると考えよ。
- 医療は医師・コメディカルおよび患者(家族)の共同事業であることを常に認識すること。
- 脳卒中発症・再発予防と早期発見・救急搬送を確実に行う目的で、地域の実地医家や救急隊と協力関係を保ち、一般住民の啓発にも努める。
- 自己の判断では不十分と考えた場合には、いつ何時であろうとも、上級医と相談し患者対応を決定すること。
診療録記載:
- 入院患者診療録は患者診療後必ず毎日記載すること。(代理可)
- 退院サマリーは退院後24時間以内に作成する。すべての項目、関与者を記載する。データベース、クリニカルインジケーターを記入する。
- 退院時決められた疾患には、チェックリストを完結すること(脳卒中データバンクなど、1月よりJNR)
- 手術記載は手術後24時間以内に作成する。
- 手術術式、時間、出血量、術者名、手術理由、ICの簡単な内容、手術所見、行ったこと、病理検体の有無、輸血の有無、合併症の有無、ビデオ・写真の有無、特殊手術機器使用の有無と有用性を記載する。手術のスケッチをできるだけ残すこと。できるだけ自分用のメモでも良いので、図画を残す。百聞(文)は一見にしかず。
合併症対応:
- 合併症が発生した場合、発生すると予想された場合には、直ちに上級医と連絡し、また必要に応じて病院医療安全管理室と連絡をとり共同して対応に当たること。
- 合併症評価 M&Mを月一回開催し、それぞれの原因と対策を検討する。
向上への努力:
- 常に新しい知識を得ること。
- 記録をとり、定期的に検証すること。
- 手術の練習、イメージトレーニングを怠らない。手術前には節制すること。
マニュアルは研修医に配布します。改善点などどんどんよこしてください。