現在、付属4病院に診療科を持ち、150の病床と年間1,000例余の手術を行い、さらにプログラム全体で3,000例超の手術を行なっています。大学病院脳神経外科としては国内屈指の規模を誇っています。付属4病院における均質な診療を目的として、各々の疾患に対する統一した治療方針のもと、共通のプロトコルに従って治療を行っています。そのため毎週火曜日には合同臨床カンファレンスを行い、各病院における一週間の手術症例を中心にビデオを用いて活発なディスカッションを行っています。
間脳/下垂体腫瘍 Hypothalamic and Pituitary Tumors
下垂体は首から上の頭蓋骨のちょうど中央にある臓器で、女性の小指の先ほどの大きさです。ここからは、ホルモンという身体のバランス・生命維持に重要な物質が分泌されます。この部位にできる主な腫瘍としては下垂体腺腫、頭蓋咽頭腫などが挙げられ、その他髄膜腫、胚細胞腫、神経膠腫などが発生します。治療は、視神経や内頚動脈など周囲の解剖学的構造物との関係、腫瘍のタイプによって異なりますが、最も広く行われているのが経鼻的手術です。
当教室は前 寺本 明教授(現名誉教授)のもと、日本の下垂体手術のメッカとして特に内視鏡手術に力を入れて発展してまいりました。内視鏡下経鼻的手術は視野が広く、有効な方法として認知され、2012年度の診療報酬改定において内視鏡下経鼻的下垂体腫瘍摘出術(K171-2)という術式が新設されました。さらに2016年度には、より高度な内視鏡下経鼻的頭蓋底腫瘍摘出術(K-171-2.2)も追加されています。当施設ではこの手術を過去1800例以上行い、本邦最多の手術数を誇っています。今後も田原の主導のもと、本治療を発展させて参ります。
脳腫瘍 Brain Tumor
脳腫瘍と言われると癌のように恐ろしいものと思われるかもしれませんが、脳腫瘍の半分は良性腫瘍であり、のこりの悪性腫瘍も現在様々な治療が開発されています。脳腫瘍においてはナビゲーション、モニタリング、また他の治療との上手な組み合わせ手段を用いて治療すること(集学的治療といいます)が極めて重要です。
手術名 | 2015年 | 2016年 | 2017年 | 2018年 | 2019年 |
脳腫瘍開頭手術 | 103件 | 122件 | 117件 | 131件 | 122件 |
脳腫瘍生検術 | 7件 | 11件 | 13件 | 10件 | 11件 |
(日本医科大学付属の4病院)
当教室では玉置、山崎、樋口が神経膠腫、リンパ腫などの悪性脳腫瘍を含めた脳腫瘍一般を、森田、亦野、他頭蓋底チームが頭蓋底腫瘍、田原、亦野、築山が下垂体腫瘍、経鼻内視鏡下手術を担当しています。またサイバーナイフは日赤医療センター、春日居サイバーナイフセンター、ガンマナイフはNTT関東病院ガンマナイフセンター、築地神経科クリニックと連携して治療を進めています。お互いに協力して患者、その腫瘍に対して最良の医療を提供できるよう計画しています。
良性脳腫瘍(聴神経腫瘍・髄膜腫など)/頭蓋底腫瘍
Benign Brain Tumor(Acoustic Tumor, Meningioma, etc)/Skull Base Tumor
良性脳腫瘍、特に髄膜腫や聴神経腫瘍という腫瘍は頭蓋の底に出来ることが多く、脳の血管や神経、また脳幹といわれる脳の中心部を巻き込んで成長します。その他脊索腫、類上皮腫、鼻・口腔の悪性腫瘍などが頭蓋底腫瘍と言われます。
視力の低下や複視(ものがだぶって見える)、顔面の痛み、顔のしびれや麻痺、聴覚の低下、嚥下障害(のみこみづらさ)、ふらつき、歩行障害などで発症することが多い腫瘍です。治療は特殊な頭蓋底手術技術、多種のモニタリング、ナビゲーション、神経内視鏡などを用い、時にバイパス手術なども併用します。また血管や脳神経を巻き込む部分ではサイバーナイフやガンマナイフなどの技術を合わせて治療を行います。このような手術を安全に行うためには経験の多いチーム医療が必要となります。
日本医科大学付属4病院
手術名 | 2015年 | 2016年 | 2017年 | 2018年 | 2019年 |
脳腫瘍摘出術総計 (千駄木) |
242件 (157件) |
246件 (161件) |
192件 (134件) |
216件 (142件) |
200件 (126件) |
当院および2013年1月より当院に赴任した森田は前任地(NTT東日本関東病院および東京大学)において多くの脳腫瘍治療、頭蓋底手術を行って参りました。特に日本医科大学においては多くの下垂体腫瘍の手術、NTT東日本関東病院では後頭蓋窩(小脳橋角部ともいわれる部分)の腫瘍を多く治療し、国内外に定評を得た治療をおこなってまいりました。今後両治療の長所を生かして内視鏡を積極的に併用した低侵襲(傷が小さく、身体への負担の少ない)な頭蓋底手術を広くおこなってまいります。またガンマナイフやサイバーナイフなどとの連携医療も数多くおこなってまいります。
特殊な疾患である神経繊維腫症2型(NF2)は治癒困難な疾患で、特に両側聴神経が侵されるため聴覚障害を生じる患者さんが多くおります。このような困難な疾患に対して治療の進歩を企画すべく脳幹インプラント、蝸牛インプラントなどの埋め込みをしてまいりました。またNF2の神経鞘腫から多く分泌される血管成長因子(VEGF)を抑える薬剤が本疾患に有用という知見を確認すべく、福島県立医科大学主導で進めているBeatNF2という二重盲検試験に参加しています。
BeatNF2ホームページ
“神経皮膚症候群に関する診療科横断的な診療体制の確立”研究班 NF2紹介ページ
脳血管障害 Cerebrovascular Disorder
脳血管障害とは、脳動脈瘤や動静脈奇形などの出血性の頭蓋内血管病変や脳梗塞を来す脳血管の狭窄・閉塞などの虚血性脳血管障害をさします。どちらも急速に発症し脳卒中という日本で第3位の死因(要介護1位)となる病態を発症します。したがってこの発症後迅速に、また予防の治療を行うことは極めて重要です。ただ同時に脳卒中は全身疾患の一部ですので、全身のケアも重要です。他の科と綿密な連携をくみながら、厳密な手術基準を設け、繊細で高度な手術技術で治療にあたることが必要な領域です。また、開頭手術では無剃毛手術への対応が可能です。担当医にご遠慮なくご相談ください。
日本医科大学付属4病院 脳血管障害 開頭手術
開頭手術 | 2015年 | 2016年 | 2017年 | 2018年 | 2019年 |
脳血管障害手術総数 | 223件 | 255件 | 416件 | 403件 | 382件 |
出血症病変 (脳動脈瘤・脳動静脈奇形) |
146件 | 143件 | 194件 | 206件 | 222件 |
脳虚血性病変 (もやもや病、バイパス術) |
65件 | 89件 | 84件 | 87件 | 94件 |
脳内出血 | 14件 | 23件 | 69件 | 55件 | 59件 |
日本医科大学脳血管障害治療チームの特徴は、20年ほど前から4病院1教室の考えのもと、対象疾患に医師を重点的に集め、specialist を育てて来た事と、学閥にこだわらず、国内外の有数の施設に留学したものが多数を占めている事です。更には、電気生理学的モニタリングや、ICG術中血管撮影などにも早期から取り組み、より合併症の少ない手術に取り組んで参りました。脳動脈瘤に対してはガイドライン等に準拠した的確な治療適応の判断と外科治療を行っています。また撓骨動脈グラフト術は、主に、治療困難な大型内頸動脈瘤を中心とした内頸動脈病変に対して行われる治療法であり、技術、人員、経験など様々な条件が必要な特殊な手技です。我々は180例を超える、本邦でも有数の経験数を誇り、多くの患者様をご紹介頂いております。もやもや病や脳虚血に対しても頭蓋内血管閉塞性病変に対するバイパス術や、内頸動脈内膜剥離術(CEA)も厳密な実施基準のもとに、安全で確実な手術を積極的に行っています。さら日本医科大学脳神経内科・脳卒中診療科は日本で最大の脳虚血病変の診療を行なっており、脳神経外科、神経内科、救命救急センターで密な連携を持って治療にあたっています。
『脳動脈瘤の治療法選択について』
脳動脈瘤脳動脈瘤とは、脳血管の壁の一部が風船のように膨れてできる壁が薄い部分のことで、破裂するとくも膜下出血の原因となるものです。 くも膜下出血の予後は脳血管内治療が増えたり、いろいろな薬が増えても2024年現在、30年前とほとんど予後が改善しておらず、半分から3分の1の人が重症になる病気です。このため、未破裂の内に発見された脳動脈瘤の中でよく選別して必要なものに、破裂予防の治療をしようとするのが、未破裂脳動脈瘤の治療です。破裂を明確に予防できる薬はなく、禁煙や高血圧の管理が必要なのはわかっていますが、根本的な対策にはなりません。
脳動脈瘤の治療には、大きく分けて開頭クリッピング術とコイル塞栓術という2つの方法があり、それぞれに長所短所があります。日本全国の脳卒中専門家が作成した脳卒中ガイドラインには2023年の段階で、記載されていることは、次のようなことのみで、それ以外のことについてはほぼ、個人の意見でしかありません。
1) 破裂を明確に予防できる薬はなく、禁煙や高血圧管理を推奨
2) 治療方法選択は、開頭手術、血管内治療の両方の経験豊富なチームが必要
3) 血管内治療では、開頭手術に比較し治療後の不完全閉塞や再発の頻度が高い
これらの情報からわかるのは、開頭クリッピング術は根治性が高く、再発が少ない治療であることです。合併症のリスクとその頻度、すなわち治療の安全性に関しては、治療法別に明確な違いはないと考えた方が良いでしょう。開頭手術、血管内治療ともに、それぞれでのみ発生する合併症があるからです。また、どちらかの治療法が明らかに向いている動脈瘤があります。開頭手術では治療しやすいが、血管内治療では難しい動脈瘤も、その逆の動脈瘤もあります。
脳血管内治療 Neuroendovascular Therapy
脳血管内治療は、脳動脈瘤や血管奇形、脳血管の閉塞・狭窄や血管に富む腫瘍などに対してカテーテル等を用いて、血管の中から治療する方法です。開頭手術に比較して侵襲が小さい事が特徴です。局所麻酔でも手術可能なこともあり、入院日数の軽減にもつながります。手術が困難な病変でも血管の中から到達すれば治療可能なこともあります。
脳動脈瘤 ; コイル塞栓術(動脈瘤内にプラチナ製のコイルを詰めて動脈瘤を閉塞する方法)
頸動脈狭窄症 ; 頸動脈ステント留置術(狭窄した頸動脈に金属のメッシュ(ステント)を置き、内側から押し拡げる方法)
頭蓋内血管狭窄症 ; 経皮的脳血管形成術(狭窄した脳血管に「バルーンカテーテル」と呼ばれる風船付きカテーテルを用いて拡げる方法)
脳梗塞超急性期 ; 血栓回収術(ステント類似器具や吸引カテーテルを用いて機械的に血栓を除去する方法)
脳動静脈奇形塞栓術 ; 液体塞栓物質を用いて「ナイダス」と呼ばれる異常血管を閉塞させる方法
脳腫瘍血管塞栓術 ; 塞栓物質を用い脳腫瘍を栄養する血管を閉塞させ、開頭手術の出血の軽減を図ります。
硬膜動静脈瘻、脊髄動静脈奇形、血管外傷、頭蓋内動脈および鎖骨窩動脈狭窄症等、対象疾患は多岐にわたります。
指導医、専門医は国内外の一流の施設でトレーニングを受けてきました。治療のバランスを図るために開頭手術チーム、他施設ガンマナイフセンターなどの専門家と密に連携を取り、治療方針を決定致します。常に、時代に即した最適な治療は何かを考慮し、低侵襲かつ安全な治療法を確立するべく努力をしています。
日本医科大学付属4病院 脳血管内手術
2015年 | 2016年 | 2017年 | 2018年 | 2019年 | |
破裂動脈瘤 | 3件 | 3件 | 2件 | 8件 | 9件 |
未破裂脳動脈瘤 | 10件 | 7件 | 4件 | 7件 | 6件 |
脳動静脈奇形 | 8件 | 4件 | 10件 | 10件 | 11件 |
脊髄動静脈奇形 | 0件 | 0件 | 1件 | 1件 | 1件 |
脳血栓回収療法 | 16件 | 18件 | 23件 | 25件 | 43件 |
頸動脈ステント留置術 | 11件 | 10件 | 11件 | 12件 | 12件 |
硬膜動静脈瘻 | 4件 | 3件 | 3件 | 5件 | 7件 |
その他 | 11件 | 26件 | 11件 | 27件 | 10件 |
合計 | 63件 | 71件 | 65件 | 95件 | 99件 |
指導医、専門医は国内外の一流の施設でトレーニングを受けてきました。手術チーム、ガンマナイフセンターなどの専門家と密に連携を取っています。常に、時代に即した最適な治療は何かを考慮し、低侵襲かつ安全な治療法を確立するべく努力をしています。
日本脳神経血管内治療学会専門医 井手口稔(日本医科大学千葉北総病院 講師)
日本脳神経血管内治療学会専門医 馬場栄一(日本医科大学多摩永山病院 助教)
日本脳神経血管内治療学会専門医 築山 敦(日本医科大学武蔵小杉病院 助教)
日本脳神経血管内治療学会専門医 吉田陽一(横浜旭中央総合病院 脳神経外科)
脊髄・脊椎疾患 Spinal Disease
頸椎症や頸椎椎間板ヘルニア、頸椎後縦靭帯骨化症などの頸椎疾患、腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症などの腰椎疾患は、整形外科で治療するとの印象が強いかもしれませんが、我々は脳神経外科医としての技術を駆使し、手術用顕微鏡を用いてこれら疾患を積極的に治療しています。
頸椎疾患は、脳と体をつなぐ脊髄神経が障害されることで、手の細かい動きが下手になったり(巧緻運動障害)、バランスが悪く脚をつっぱるようにして歩くようになったりします(歩行障害)。加齢に伴う頸椎の変形が原因になりやすいのですが、中には腫瘍や血管の異常などが原因になることもあります。
腰椎疾患は、脚に行く神経が腰椎で障害されることで、歩行や立位にともない脚がしびれたり、痛くて歩けなくなったりします。よく知られた病気でもありますが、以下のような末梢神経疾患と併発していることもあり、総合的な治療が必要になることがあります。
日本医科大学付属4病院 脳血管内手術
2015年 | 2016年 | 2017年 | 2018年 | 2019年 | |
変性疾患 | 81件 | 60件 | 63件 | 68件 | 40件 |
腫瘍 | 13件 | 9件 | 10件 | 7件 | 5件 |
血管障害 | 0件 | 1件 | 1件 | 3件 | 0件 |
その他 | 0件 | 3件 | 18件 | 11件 | 4件 |
プログラム総数 | 235件 | 132件 | 156件 | 151件 | 92件 |
当院では、以前より頚椎症や後縦靭帯骨化症、腰部脊柱管狭窄症などの脊椎・脊髄疾患への治療を積極的に行って参りました。特に身体への負担が少ない手術顕微鏡を用いた様々な低侵襲治療を駆使し、患者さんの状態にあったオーダーメイドの治療方針を基本に行って参りました。これらの低侵襲治療は、学術的にも国内外で高い評価を得ております。脳、脊椎、末梢神経と神経に対して一貫した診断、治療を行える利点を生かし、これからも体に優しい治療を行って参ります。
末梢神経障害 Peripheral Nerve Neuropathy
脳からでた神経は、脊椎を通って、手や足にたどりつきます。脊椎からでた後の神経は、関節などを通る際に傷むことがあり、その結果しびれや痛み、時に麻痺を起こすこともあります(末梢神経障害)。手の症状を呈する手根管症候群や肘部管症候群などはよく知られていますが、脚の症状を呈する外側大腿皮神経障害や腓骨神経障害、足根管症候群、更には腰痛を引き起こす殿皮神経障害など、一般になじみの少ない疾患など様々なものがあります。これらは頸椎疾患や腰椎疾患と症状が似ているため、時に判断が難しいこともあり、治療には豊富な経験が役立ちしますが、全国的に治療している病院が少ないのが現状です。当科では末梢神経疾患に関する多くの治療経験を有し、低侵襲な外科治療にも積極的に取り組んでいます。
2015年 | 2016年 | 2017年 | 2018年 | 2019年 | |
上肢神経障害(手根管、肘部管症候群など) | 25件 | 30件 | 17件 | 27件 | 21件 |
下肢神経障害(足根管、腓骨神経障害など) | 33件 | 45件 | 34件 | 41件 | 25件 |
その他(上・中殿皮神経障害など) | 15件 | 13件 | 24件 | 18件 | 9件 |
当院では手足のしびれや痛み、麻痺を呈した患者さんの診察や治療において、蓄積された経験の下脊椎・脊髄疾患のみならず、末梢神経障害に対しても総合的に、一貫して行っております。特に、足根管症候群や上臀皮神経障害治療に関しては、国内外に定評を得た治療をおこなって参りました。今後も保存療法に加え、必要に応じ、顕微鏡を取り入れた局所麻酔下の低侵襲(身体への負担の少ない)手術で末梢神経障害の治療にあたって参ります。
機能的外科治療:てんかんに対する外科手術/パーキンソン病などに対する定位脳手術
Epilepsy Surgery/Surgery in the Parkinson’s disease, etc.
手術でなおる「てんかん」があります。日本には100万人のてんかん患者さんがいます。てんかん外科手術は2000年から日本でも健康保険医療として正式認可された重要な外科医療です。すべてのてんかんに手術可能なわけではないのですが、正確なてんかん診断と治療戦略によりてんかん外科手術は最大効果を発揮します。発作に悩んでいるてんかん患者さんすべてに、てんかん外科治療を検討することができます。一方、手術をすればお薬が不要になるわけではありません。てんかん手術はてんかん治療のゴールでもありません。慢性神経疾患の外科医療では、患者さん個人の病状・実情にマッチしたQOL向上が必要です。
さらに手足のふるえを来たす代表的疾患のひとつにパーキンソン病があります。日本では1000人に1.5人程度の方がパーキンソン病であるともいわれています。パーキンソン病そのものを治すことはまだできませんが、DBS(deep brain stimulation; 深部脳刺激)療法により運動症状を大きく改善することができます。ではどの時点で手術を検討するのがいいか?ということですが、最新のデーター(▷N Engl J Med. 2013 Feb 14;368(7):610-22.)から考えても、運動症状のコントロールが難しくなったらあまり時間をかけずに(病気の発症から概ね5年)一度は手術を検討するとよいでしょう。DBSは本態性振戦やジストニアといった運動疾患の治療にも適しています。
手術名 | 2015年 | 2016年 | 2017年 | 2018年 | 2019年 |
モニタリング | 20件 | 15件 | 19件 | 2件 | 3件 |
てんかん手術 | 22件 | 12件 | 18件 | 0件 | 1件 |
定位脳手術 | 7件 | 9件 | 4件 | 3件 | 4件 |
日本医科大学は、日本てんかん学会認定訓練施設として専門家育成に貢献しながら、てんかん診療ネットワーク ECN-JPN (▷http://www.ecn-japan.com/))や全国てんかんセンター協議会JEPICA ▷http://epilepsycenter.jp/)に参加しています。てんかん外科のリファレンスセンターとして、私たちは患者さんや患者さんの集まりである日本てんかん協会(▷http://www.jea-net.jp/)そして地域の先生やかかりつけの先生との関係を大切にしています。入院治療や手術治療は主として武蔵小杉病院で行いますが、付属病院や千葉北総病院の専門外来でも診察やフォローアップを受けることができます。てんかん外科専門診療は太組一朗非常勤講師および廣中浩平助教が担当しています。
DBSや凝固手術は機能的定位神経外科手術という分野に入ります。日本医科大学では、関東一円に所在する大学病院・基幹病院の神経内科との密な連携体制を構築して、機能的脳神経外科functional neurosurgery分野に日夜取り組んでいます。DBSをはじめとした機能外科手術は、日本医科大学武蔵小杉病院で実施していますが、日本医科大学付属病院や千葉北総病院での受診やフォローアップも可能です。本診療は太組一朗非常勤講師および廣中浩平助教が担当しています。
微小血管神経減圧術 Microvascular Decompression
顔面痙攣とは顔半分が無意識のうちにぴくぴく痙攣する病気であり、三叉神経痛とは食事や歯磨きをしたときにきわめて強い電撃痛が顔の半分に走る病気です。どちらも脳の奥で、蛇行した血管が神経を圧迫することによっておこります。顔面痙攣に対しての治療はボツリヌス毒素(ボトックス)の顔面筋への注射があり、三叉神経痛に対してはテグレトールなどの抗痙攣剤の内服がありますが、最も根治的な治療法は開頭術です。耳の後ろを4-5㎝ほど切開して、小さな孔をあけ、顕微鏡を使って圧迫している血管を移動させます。手術時間は3時間ほど、入院期間は10日間です。局所剃毛ですので、退院時にはほとんど頭の手術を受けたことがわからない状況になります。
日本医科大学付属4病院
手術名 | 2015年 | 2016年 | 2017年 | 2018年 | 2019年 |
脳神経減圧術 | 39件 | 35件 | 35件 | 32件 | 38件 |
顔面けいれん・三叉神経痛の手術は脳神経外科のなかでも比較的特殊な分野であり、国内でも専門的に治療を行っている施設は限られております。当院では、顔面けいれん・三叉神経痛の専門外来を行うことにより、顔面のけいれんや痛みに対しての総合的な診断と内科的治療を含めた幅広い治療を行っております。顔のぴくつきや顔面の痛みでお悩みの方、自分がこういった病気ではないかと心配な方はお気軽に受診してください。